猫なんて飼うもんか!

猫アレルギー

はじまり

事の始まりはつい先日。

 


本格的な冬が始まろうとしていた11月のこと。

 


バンド練習を終えた帰り道。

 

時間は22:30を回った頃。

 

車を走らせていると道路のど真ん中になにやら茶色い紙袋が。

 


誰かが捨てたんだなーと思い気にもせず通り過ぎようとしたら!

 

 

 

 

なんと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネコ!

 

 


慌てて急ブレーキ!

 


間一髪のところでセーフ。

 


「なんだよ野良猫か?警戒心のないやつだなー」

と思いつつ微動だにしないのがやけに気になって一応確認。

 

 

 


車を降りて近付いてみるとうずくまったまま動かない。

前足と鼻のあたりにかなりの出血が。

まだ生まれたばっかの子猫かな?

親はどこに居るんだろう。

はぐれてしまったのかなー。

 

参ったなーどうしよう。

 

これが道端とかなら気にせずシカトするんだけど。

 

枝道とは言え国道に出るための近道だからわりと車の通る道だし

ちょうど街灯の途切れてる場所だし

他のドライバーだってきっと紙袋かなんかだと思ってスピードを緩めずに走るに違いない。

 


下手すりゃスタッドレスで行かれてTHE ENDってこともあり得る。

っていうか絶対ある。

 


ただ、いかんせん俺は猫アレルギー。

触るのも厳しいし、ましてや普段から動物に構ったりなんてしない人間。

 


人間として最低限の情けは持ち合わせてるつもりだし

後ろ髪引かれる感じはあったけど

野良猫なんだし自分の身は自分で守らなければならないのだから

ここで終わってしまう人生ならそれは運命なのかもしれないと。

 


ただ轢かれるなよーと祈りつつそっと車を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


いつもなら話はここで終わりで、数日すれば気にも止めなくなるようなそんな出来事。

 


けれどその日はバンド練習。

 


友達の子供が産まれた時に感動して作った曲が初めて形になった日。

 


生まれてくる命を肯定しようと本気で思って

とにかくポジティブなことしか書かないぞ!と決めて詩を書いた曲。

 

 

そんな曲作っておきながらお前は見放すのかと。

 


偉そうなこと言っときながら目の前の命を肯定しないのかと。

 


なんだか自分と、自分の作った曲と、友達の幸せな命にも嘘をつくような気がしてならなくて

たまには柄にもないことをしてみようと決めた。

 

 

 

家に帰ってソッコーで段ボールを作ってゴム手袋を履いて(猫アレルギー)

来た道を戻る。

 


助けるとなったらとにかく急ぎたいところ。

 

けれどその間にもあの枝道には車が走っているだろうし

もしかしたら轢いたことすら気付かないで走り去ってるかもしれない。

 

枝道を爆走するのが田舎の悪いところで

俺も地元のドライバーはまるっきり信用してない。

 


「まぁ俺が戻るまでに轢かれてたらそれも運命なのかなー」

なんて考える。

 


知らず知らずのうちに「ダメだった時の理屈」を考える。

 


これは大人の悪いところ。

 


子供の頃はそんなことは考えなかったのに。

 


「行動に移した自分」を肯定しようとする自分が頭の片隅に居て

理屈のトンネルを掘り進める。

 


良い言い方をすれば心の防衛線なのかもしれないけど、結局は自己保身だ。

 


結果が出る前から後のこと考えるなんて、ダサいなーとつくづく思う。

 

 

 

 

 


横道に逸れたけど話と車は元の道に戻る。

 

 


猫が居る場所に近付く。

もしかすると居たであろう場所。

 

居なくなってくれていれば気持ちはどんなに楽だろう。

 

もしかすると「さっきまで息をしていた場所」に近付いているのかもしれないと思うと

とても怖かった。

 

ヘッドライトを頼りに恐る恐る探す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


居た。

 

紙袋っぽい猫が。

 


運命なんだな。

 

 

 


車が何台通ったか分からないけど、みんな几帳面に紙袋を避けて走ってたんだな。

地元ドライバーも捨てたもんじゃなかった。

 


ウインカーも上げずに曲がり出すジジイとかコンビニの駐車場でアクセル全開で動き出す奴には心底腹が立ってたけど

この日ばっかりは拍手を送りたかった。

 

 

次の日からはまた腹立てるだろうけど。

 


とりあえず車を降りてネコを段ボールに入れる。

身体を触ったところで気が付いたけど、身体が冷たい。

こんなに冷たくなるのか?

低体温症なのか。

怪我をしているせいなのか。

 

どこか暖かいところへ連れて行こうと思ったものの

家の中に入れる訳にもいかずとりあえずストーブが付いてる会社の倉庫に入れさせてもらう。

 

 

 

 

 

 

 


さて。

勢いで連れて来たもののどうしよう。

 

介抱してやりたいのは山々だけど、猫とは無縁だったこの人生。

何をどうしたら良いのか分からない。

 


とりあえずググる

 


毛布を敷く(ゴム手着用)

 


ググる

 


皿に水を入れる(ゴム手着用)

 


体温がだいぶ下がっていて全く歩けない状態で

もしかしたら朝には息をしていないかもしれないなと最悪な事態を考える。

 


それもそれで運命なのかもしれないなーとまた冷めたことを考え出す。

 


嫌な大人だよまったく。

 


とりあえずこれ以上出来ることは何もないので、明日も息をしていることを願いつつ就寝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝起きて様子を見に行くと

ゆっくりだけど段ボールから出て来れるくらいに回復してた。

 

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ちょっと感動した。

生命力ってすごい!!

終始自信はなかったけどここでやっと助けて良かったと思えた。

 


と同時に運命を感じた。

そんなの信じるタイプではないんだけどね。

 


柄にも無いことをしてしまったもんだから柄にもないことを考えてしまう。

 


とりあえず回復するのを待って、元居た場所へ還そう。

 


そう思っていた、、、